50代以上になると、派遣社員どころかアルバイトですら仕事を見つけるのが厳しいと言われている。私のように47歳で会社を辞めてから、ブランクが5年近くにもなる50代のおっさんとなれば尚更だ。
一方で、常に求人募集をしている介護や警備、清掃の仕事など「中高年歓迎」を謳っているアルバイトも少なくない。だからこそ、少々ブランクが少々長い50代でも「仕事さえ選ばなければ、アルバイトくらいは受かるだろう」と安易に考えていた。
しかし、ことはそんなに単純ではなかった。アルバイト探しをしているうちに、人手不足と言われている清掃の仕事でも、面接に「受からないかも…」と不安になることも。
そんな思いがけない不安に襲われながら、約30年ぶりにアルバイトの面接に挑んだ結果とは……
なぜ、50代になって清掃のアルバイトをしたいと考えたのか?
勤続20年の会社を辞めてから、まもなく5年。これまでは、ブログやWebライターで生計を立ててきた。
しかし、驚異的なAIの進化によって、想定外の事態が起きた。ブログやWebライターのような執筆作業は、もっともAIが得意とする分野。正直なところ、普通に文章を書かせたら、多少文章力のある人よりもはるかに上手い。ただ執筆するだけでは食えない時代が到来したのだ。
個人ブロガーはこれまで以上に稼ぐことが難しくなっており、Webライターを募集しているクラウドワークスなどの案件募集も明らかに減ってきている。おそらく、あと3年も経たないうちに、底辺ブロガーやWebライターは完全に淘汰されてしまうのではないだろうか。
かといって、すでに50代になってしまった私は、アルバイトで仕事を見つけるのでさえ厳しい。だが、そんな中高年でも歓迎される仕事がある。それが「介護」「警備」「清掃」の仕事だ。
なかでも学生時代にアルバイト経験があった清掃の仕事は、作業イメージがしやすく、50代となった今の自分でも無理なく仕事ができる自信もあった。
何よりも清掃のような現場作業は、どんなにAIが進化したとしても、今の中高年が生きているうちに仕事がなくなることは考えにくい。清掃をAIロボットに任せるよりも、導入コストやメンテナンスを考えれば、人間を雇った方がはるかに安上がりになるからだ。
50代でも老後に向けて安定的な仕事を得られるのは、清掃の仕事を選んだ大きな理由だった。
50代のアルバイト探しは厳しい?介護・警備・清掃の仕事ならすぐに見つかる
そもそも、50代アルバイトの求人事情がどうなっているのか気になる人も多いだろう。年齢的に正社員は厳しいとしても、未経験の仕事の場合、アルバイトでも採用されない悲惨な状況になるのではないかと私自身も不安があった。
ネット上には「マイナビミドルシニア」「シニアジョブ」「シニア求人ナビ」などシニア層に特化した求人サイトも多く、50代でもアルバイトなら十分に仕事を見つけることはできる。
しかし、サイト内の詳細検索に複数の希望条件を入れていくと「検索結果0」の厳しい現実が表示がされることも珍しくない。
結局のところ、50代以上でも採用してもらえる可能性があり、勤務地や勤務時間などの条件を満たしてくれる求人になると、介護や警備、清掃の仕事に落ち着く。
清掃は別としても介護や警備は人の生命に関わる仕事でもあり、本来なら資格や経験も必須のように感じるが、初心者歓迎の募集がほとんど。それだけ人手が足りていないということが分かる。
いずれもフルタイムの勤務以外に、早朝・日中・夕方・夜間などの短時間のパート・アルバイトを募集しているケースが多く、私のように副業や兼業として仕事をするには最適とも言える。中途半端なホワイトカラーの仕事よりもAIに淘汰される心配が少ないのも魅力的だ。
介護・警備・清掃といえば、給料も安く底辺の仕事として見られがちだが、業界的に50代ならまだ若く、セカンドキャリアとして経験を積んでいくには、決して悪くない選択肢と言えるだろう。
【実話】清掃のアルバイトにも人気・不人気の仕事がある
私の話に戻ると、実は清掃のアルバイトを探し始めて面接を受けるまでに1年以上も経過していた。アルバイトを探し始めてから、なぜか急にWebライターの仕事が増えたなどの事情もあったが、一番の理由としては清掃の仕事のなかでも自分の希望に合った条件の職場を選り好みしていたからだ。
そんな1年以上に及ぶ清掃のアルバイト探しのなかで分かったことがある。それは清掃のアルバイトと一口に言っても、求人内容によって清掃のアルバイトにも人気・不人気の仕事の差が激しいことだ。
「客室清掃は時間に追われて大変そう」「病院清掃は少し怖い」など「どんな現場で働くのか?」は清掃アルバイトの人気・不人気に大きな影響を与えるが、同じくらいに重要なポイントが働く時間帯だ。
働く現場は同じでも、夕方などの午後勤務の募集はなかなか採用が決まらないらしく、求人サイトにずっと掲載され続けているケースが珍しくない。
私自身も仕事内容の詳細について電話で問い合わせをしてみた際に、早朝や日中のアルバイトと比較して、夕方以降の時間帯は人が集まらないとの話を聞いたことがある。会社を辞めた直後に通ったハローワークの職員からも、清掃の仕事をする人の割合は女性が多く、扶養範囲内の午前中だけの時間帯を希望する人が多いと言っていた。
一方で男性はフルタイムでがっつり働きたい人の方が多いため、午後の短時間アルバイトは敬遠される傾向があるようだ。
つまり清掃の仕事は求人が多いといっても、働く現場や時間帯によっては採用の競争率が上がる可能性が高い。応募すれば受かると安易に考えていると、清掃の仕事でも不採用という厳しい現実が待っているかもしれない。
約30年ぶりのアルバイト面接に「受からないかも…」と不安を感じた理由
そんな意外に厳しいかもしれない採用事情をさほど気にすることもなく、私は1年以上を掛けて見つけた清掃のアルバイトの求人に応募。
学歴の入学・卒業年月日など朧げな記憶を思い出しながら、約30年ぶりに履歴書を書くことに。面接に行く服装も「さすがにスーツは堅苦しいか…」など些細なことに迷いながら、ついに面接の日を迎えることになる。
若い頃なら緊張で口の中がカラカラになりそうな面接も、そこは年の功。ブランクの長さや前職を退職した理由、現在の健康状態など、面接官の質問には一切詰まることなく、無難に回答することができた。
そして面接は無事終了。「面接結果は1週間以内に連絡します」と言われたものの、「当日中に採用連絡がくるのでは?」と思わせるような和やかな雰囲気。がしかし…
当日中どころか、翌日も2日後にも連絡はなし。一般的にアルバイト面接の場合、3日以内に採用の連絡がくることが多いようだが、その3日を経過しても合否の通知はなかった。
「清掃の仕事でも50代では年齢的に厳しい?」「それともブランクの長さが影響したのか?」「トイレ清掃があるから男性の時点で不採用?」など受からない理由をあれこれ考えて、少し不安になり始めた4日目の午後にアルバイトの面接先から連絡が…
50代は清掃の仕事にも受からないのか?アルバイト面接の結果とは…
結論から言えば、無事清掃アルバイトの面接に合格することができた。面接結果の連絡が遅く感じたことで「受からないかもしれない…」と不安になったことは、少し考え過ぎだったのかもしれない。
なぜなら、採用後のアルバイト先との面談で担当者が「応募者は60代や70代ばかりで…」と嘆いていたからだ。つまり、清掃の仕事において50代は若く、余程のことがない限り採用される可能性は高い。
実際に50代でもアルバイト・パートから正社員になった人もいるらしい。その事実を踏まえれば、清掃の仕事に年齢は関係なく、50代から新しく仕事を始めて正社員を目指す人にとっては大きな希望が持てる。
ちなみに、アルバイト先と今後のシフトについて話した際には「すぐ休むいい加減な人もいて…」と苦笑していた。人手不足と言われている仕事は、やはり底辺と言われても仕方のない人もいるのだろう。でも、それは50代からアルバイトを始める人には、大きなチャンスとも言えるのではないか。
私のように正社員を希望していない人にとっても、50代でも会社のなかで貴重な人材として扱ってもらえる清掃の仕事は、やはり魅力的だ。

まとめ:50代からアルバイトをするなら清掃の仕事は最適かもしれない!
50代からアルバイトを探しても、未経験の仕事で採用されるのは現実的にかなり厳しい。しかし、清掃の仕事ならば50代以上の求人も多く、完全初心者でも貴重な人材として歓迎してもらえる。
将来的にも清掃の仕事はなくなる心配が少なく、年齢層は50代でも若い部類に入るため、セカンドキャリアとして経験を積む十分な時間もある。介護や警備の仕事も同様に求人は多いものの、清掃とは異なり未経験でもすぐに馴染めるような仕事とは思えない。何よりも人の命に関わる介護や警備の仕事と比較すれば、清掃の仕事は気楽だ。
トイレ掃除など汚い作業にも抵抗なく、低賃金で底辺の仕事と言われていることを気にしなければ、50代から始めるのは最適な仕事なのではないだろうか。
50代から経験を積んで、老後には仕事のできる清掃マスターの地位を築けているかもしれない……なんて、今のところは甘いことを考えているが「50代から始める清掃アルバイトの実態」については、また改めて。