40代で正社員ではなくアルバイトで働くことに対して、世間の目は厳しいものがあります。そのため、「40代のアルバイトはやばい?」という疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
私は行政書士開業を目指して、40代後半で勤続20年の正社員で働いていた会社を辞める際、生活費を稼ぐためにアルバイト生活も視野に入れなければいけない状況にありました。
アルバイト採用であれば、40代でも仕事を見つけることは決して難しくはありません。私のように一人暮らしの独身であれば、収入の少ないアルバイトでも生活に困らない程度の稼ぎを得ることは比較的簡単です。
しかし残念ながら、40代がアルバイトで働くことに対して「やばい」と言われる大きな問題が1つあります。それが世間体です。
本記事では、40代のアルバイトが「やばい」と言われる5つの理由と、世間体が気にならない働き方について、実体験をもとに紹介します。
現実のデータや体験談を交えながら、40代のアルバイト生活について深く掘り下げていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
- 40代で会社を辞めて、アルバイト生活を考えている人
- 40代男性の正規雇用と非正規雇用の割合を知りたい人
- 40代のアルバイトでも世間体を気にしない働き方を知りたい人

40代男性の雇用実態とは?アルバイトなどの非正規社員割合は10%未満
令和6年の総務省統計局「労働力調査」による雇用形態のデータでは、2015年から2024年までの期間において、男性の35〜44歳および45〜54歳のアルバイトなどの非正規雇用割合は、いずれも10%未満の低い割合となっています。他の年代と比較しても、40代前後の非正規雇用の割合の低さが際立つ結果となっています。
【男性の非正規社員割合】
年 | 25〜34歳 | 35〜44歳 | 45〜54歳 | 55〜64歳 |
---|---|---|---|---|
2015年 | 16.5 | 9.8 | 9.0 | 31.5 |
2016年 | 15.8 | 9.7 | 8.9 | 31.3 |
2017年 | 15.2 | 9.2 | 8.7 | 30.3 |
2018年 | 14.3 | 9.2 | 8.6 | 29.2 |
2019年 | 14.5 | 9.3 | 8.7 | 28.4 |
2020年 | 14.3 | 9.0 | 8.2 | 26.5 |
2021年 | 13.9 | 8.9 | 8.3 | 26.0 |
2022年 | 14.2 | 9.3 | 8.6 | 26.0 |
2023年 | 14.6 | 9.3 | 8.4 | 25.8 |
2024年 | 13.9 | 9.2 | 8.4 | 24.0 |
40代前後はキャリアの中盤にあたり、企業にとって経験豊富な貴重な戦力として扱われることから、待遇面でもピークを迎える年代です。そのため、明らかに待遇面で見劣りする非正規雇用を積極的に選ぶ人は少なく、非正規雇用の割合も低くなると言えます。
また、40代は多くの場合、家族を養わなければならない世代のため、安定した収入が求められます。責任が重い正規雇用の立場ではなく、非正規雇用で気楽に働きたい思いがあっても、収入が大幅に減少する現実がそれを許してくれません。
さらに、非正規雇用として働くことに対して、心理的な障害として大きく影響するのは世間体が悪くなることです。多くの40代は社会的に信用のある正規雇用で働いている中、10%にも満たない非正規雇用のアルバイトで働くことは、世間の目が気になり抵抗を感じるのは必然でしょう。

40代のアルバイトはやばい!と言われる5つの理由
テータからも分かるように40代男性の非正規雇用の割合が低いことからも、40代のアルバイトはやばいと言われるのは致し方ない面があります。ここでは具体的に40代のアルバイトがやばい理由について解説します。
1. 収入が減少する
令和6年の厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると、40代になるのを境にして正規雇用とアルバイト等の非正規社員の賃金格差は、40〜44歳で148.1万円、45〜49歳で159.6万円となり、20代・30代と比較すると大きく広がります。
【男性の雇用形態間賃金格差】
年齢 | 正社員 | 非正規社員 | 賃金格差 |
---|---|---|---|
25〜29歳 | 278.7 | 227.2 | 51.5 |
30〜34歳 | 322.9 | 232.8 | 90.1 |
35〜39歳 | 359.5 | 239.7 | 119.5 |
40〜44歳 | 393.4 | 245.3 | 148.1 |
45〜49歳 | 424.0 | 264.4 | 159.6 |
50〜54歳 | 439.0 | 250.7 | 188.3 |
55〜59歳 | 459.1 | 264.9 | 194.2 |
60〜64歳 | 382.2 | 298.7 | 83.5 |
上記の表のとおり、年齢を重ねるほど、正社員とアルバイトの賃金格差は広がります。アルバイトで働くことは、正社員と比較して大幅な収入減を覚悟しなければなりません。
40代といえば家のローンや子供の教育費など、プライベートでもお金が最も掛かる世代でもあるため、アルバイト生活では「やばい」と思われるのも仕方ないでしょう。
2. 不安定な雇用になる
非正規雇用のアルバイトは、会社の業績の悪化などによっては契約を打ち切られる可能性があります。
契約期間が満了するまでやむを得ない事情がなければ解雇できない正社員(労働契約法17条)と比較して、アルバイトは不安定な雇用であることは否めません。
人手不足が叫ばれている一方で、業種によってはAI技術の進化により、人の役割がAIに取って代わられる未来が近くに迫っています。そのとき真っ先に解雇されるのは非正規雇用のアルバイトになるでしょう。
3. 老後への不安が増大する
アルバイト生活を続けることは、老後の年金などの社会保障の面でも不安が大きくなります。
労働時間等によってアルバイトは社会保険に加入できないケースも多く、たとえ加入要件を満たしたとしても、正社員と比較すれば厚生年金や退職金の支給額は大幅に少なくなるでしょう。
そのため、40代からアルバイト生活をするならば、老後に年金や退職金だけで悠々自適な生活を送ることは諦めなければなりません。
4. キャリアが停滞する
基本的にアルバイトでは、会社の中で責任のある立場を任されることは少なく、大きくキャリアアップすることは望めません。
正社員として職歴を積んだ40代の多くの人がキャリアアップしていく中、平社員どころかアルバイト身分であることは、会社員としてのキャリアの停滞を意味します。
40代でアルバイトでは転職市場でも評価されることはなく、キャリアを積むことが期待できない以上、将来的にも正社員として働くことは難しい現実を覚悟する必要があるでしょう。
5. 社会的な信用が損なわれる
アルバイトという雇用形態だけで、収入の大小に関係なく社会的な信用は損なわれます。
職業がアルバイトでは、ローンやクレジットカードの審査を通過することも難しくなることも、アルバイトの社会的な信用が低いことを示しています。
また、40代のアルバイトの男性が「職業は?」と聞かれたときに、抵抗なく「アルバイトです」と言える人は少ないはずです。社会的信用がないことは、心理的にも大きなストレスになりかねません。
40代のアルバイトはやばい?世間体だけは解決が難しい
私が正社員の立場を捨てて、アルバイト生活を考えたときに最も気になったことは、金銭的な問題よりも世間体でした。ここでは私の体験談をもとに、40代のアルバイトは世間体が一番の問題となる理由についてお伝えします。
金さえあれば大抵の問題は解決する
アルバイトで働く際に、最初に不安になることは金銭的な問題です。一般的にアルバイトだけでは満足な収入を得ることは難しいからです。逆に言えば、生活するのに十分なお金さえあれば大抵の問題は解決します。
そこでアルバイトの金銭的な不安を取り除いて、少しだけ安心できる話をいくつかお伝えします。
- アルバイトなら正社員よりも拘束が少なく、他の収入源を作りやすい
- 一人暮らしで独身ならアルバイトの稼ぎだけでも十分生活できる
- 共働きなら奥さんの収入に頼ることもできる
- そもそも資産があれば生活の心配をする必要はない
- アルバイトより正社員の方が稼ぎが良いとは限らない
1~4まではともかく、5については疑問に感じる方も多いかもしれません。実際、前述したデータが示すように40代の正規雇用と非正規雇用の賃金格差は大きいのが現実です。
しかし、1でお伝えしたようにアルバイトには正社員よりも自由な時間が多くあります。いまだに正社員は多くの会社で副業が認められていない一方で、アルバイトは基本的に副業禁止などの規定はありません。
つまり、正社員は会社の拘束時間が長く責任も重いことから、アルバイトの方が他の収入源を作りやすく、金銭的な問題を解決する手段が多くあるとも言えます。
世間体だけは金で解決できない
40代でアルバイトをすることに対して、金だけでは解決できない問題もあります。それが世間体です。
一般的に40代がアルバイトで働いている事実を知れば多くの人は、「リストラにあったのか?」「アルバイトで生活できるの?」といったネガティブな評価をします。
このようなネガティブな印象は、どんなに生活に困らない資産や稼ぎがあったとしても変えることは難しく、世間体を保つことができません。
「世間体なんて気にしない!」と強い気持ちがあれば問題ありませんが、そのような鬼のメンタルを持ち合わせている人は少数と言えるでしょう。
だからこそ40代がアルバイトで働くには、心理的なストレスを負わないために、世間体を保つ工夫も必要になります。
40代のアルバイトでも世間体が気にならない働き方【体験談】
私自身が実際に行った40代のアルバイトでも世間体が気にならない働き方は以下のとおりです。世間体が気になる方は、会社を辞めて40代でアルバイトで働く場合の一例としてご覧ください。
行政書士開業で世間体を保つ
私が勤続20年以上の会社を辞めた理由の1つは、行政書士開業を目指したことです。しかし、ネット検索すると「行政書士は食えない」というネガティブな情報が多く、その是非は別として40代後半で会社を辞めるのは、リスクが大き過ぎる決断でした。
そのリスクを担保する1つとして考えていたのがアルバイトです。一人暮らしで独身の私であれば、これまでの貯蓄と併せれば、生活費を稼ぐ程度ならアルバイトの少ない収入でも問題はありませんでした。つまり、行政書士だけで食べていこうとは考えていなかったのです。
アルバイトでも食べていけるなら、「行政書士開業なんてリスクを負わなくてよいのでは?」と思われるかもしれません。その問いに対する答えは、行政書士の肩書が必要だったということ。職業がアルバイトではなく、一般的に社会的信用が高い士業の肩書があれば、ある程度の世間体が保てるからです。
これまでにもお伝えしたように、40代でアルバイトをするには世間体が邪魔をします。その世間体という問題を解決してくれるのが行政書士開業でした。

ネットからの収入源を作る
実は会社を辞めた現在、行政書士開業するための準備期間中の生活費はアルバイトではなく、Webライターやブログ運営などのネットからの収入で賄っています。
その結果、私の現在の肩書はメインの収入源となっているWebライターとなりました。かつての会社の同僚や友人から「今何しているの?」と言われたときには、「行政書士の開業準備をしながらWebライターをしている」と答えています。
副業として人気のあるWebライターですが、行政書士と比較すれば社会的信用は高くはありません。しかし、フリーランスのWebライターとして一定の収入を得て開業届を提出すれば、アルバイトだけで働くよりも世間体は保てます。
行政書士開業には資格が必要になりますが、Webライターやブログ運営などのネットを利用した起業であれば誰でもチャンスはあります。初期費用も低くリスクが少ないことも魅力なので、気になる方はぜひお試しください。

アルバイトは副業として位置付ける
Webライターやブログ運営の収入で一応生活できる目途は立ちましたが、アルバイトも始める予定があります。理想として、行政書士とネットビジネスのほかに、副業としてアルバイトもすることで収入の柱を増やしたいからです。
雇用が不安定なアルバイトですが、行政書士やネットビジネスと比較すれば安定的に収入を得られます。そして、あくまでも行政書士とネットビジネスがメインの仕事であれば、アルバイトで働くことに引け目を感じることもありません。
アルバイトは副業として位置付けて、行政書士の実務勉強や毎日のパソコン作業をリフレッシュするために、短時間バイトで身体を動かすことができれば一石二鳥にもなります。
余談になりますが、正社員の世間体が良いのは安定した仕事が確保されているからです。しかし、AI技術の進化により正社員の仕事もAIに奪われていくことが予想されています。もしかすると近い将来には「40代のアルバイトはやばい」ではなく、「副業ができない正社員がやばい」と言われる時代が来るかもしれません。

まとめ:40代のアルバイトはやばい?世間体が気にならない働き方【体験談】
40代男性のアルバイトなどの非正規雇用割合は10%以下と低いことがデータで示されています。
そのため、世間からは「40代のアルバイトはやばい」と厳しい目を向けられることを覚悟しなければなりません。
具体的に40代のアルバイトがやばいと言われる理由として、以下の5つが挙げられます。
- 収入が減少する
- 不安定な雇用になる
- 老後への不安が増大する
- キャリアが停滞する
- 社会的な信用が損なわれる
上記の理由の多くは、金さえあれば大抵のことは解決することが可能です。
しかし、世間体だけは金で解決はできません。
そんな世間体の問題を解決するために、40代のアルバイトでも世間体が気にならない働き方があります。
- 行政書士開業で世間体を保つ
- ネットからの収入源を作る
- アルバイトは副業として位置付ける
あくまで私の体験を通じた一例ですが、行政書士またはネットビジネスを収入のメインにすることで、アルバイトで働くことに対する抵抗感を軽減できました。
「目標があって会社を辞めたいけれど、生活費を稼ぐためにアルバイトするのは抵抗がある」と悩んでいる40代の方に、少しでも参考になれば幸いです。