50代男性の生涯未婚率は、今や30%に迫る時代。結婚しない人生は決して珍しいことではない。そのため、一人で生活することを当たり前の日常として受け入れている中高年世代も多いのではないだろうか。
一方でネットを中心に「独身50代の孤独さは異常だ…」といった中高年おひとりさまの不安を煽る記事を目にすることも多い。
40代まで独身生活に一切の孤独を感じていなかった私でも、明らかにネガティブな印象を与える記事を読んで「老後の生活が現実的になる50代は、異常なほどの孤独感を感じるようになるのだろうか…」と不安を抱くこともあった。
しかし、実際に50代を迎えた今、40代までと変わらずに孤独感を感じることはない。今さら恋人を作る気にもならないし、ましてや結婚なんて考えられない。なぜなら、50年以上生きてきた結果として、私は一人が好きということを明確に自覚しているからだ。
一人好きにとって孤独であることは、むしろ快適で自由な生き方を実践するためには欠かせない。そんな一人好きな私が考える孤独感の正体や「50代独身の孤独は異常ではない!」と前向きになれた体験談をお伝えする。
なぜ「独身50代の孤独さは異常」と感じてしまうのか?
独身50代だからといって、私自身は特別な孤独感はない。ただし、それは私が一人でいることに抵抗がないからだ。
私とは違って、若い頃から一人で行動することを好まず、家族や友人と一緒でなければ日常生活を楽しめない人も少なくない。
そこで、そんな一人の生活を好まない独身50代が抱く孤独感の正体について考察してみる。
結婚しない人生がほぼ確定する
50代になると結婚できる可能性は極めて低くなり、事実上「結婚しない人生」がほぼ確定する。
年齢別初婚率の統計データをみても、50歳を超えて初めて結婚した人の割合は1%にも満たない。中高年世代で結婚を諦めていない人にはショッキングな数字だ(出典:国立社会保障・人口問題研究所 人口統計資料集2025)。
私自身の経験でも、40代までは「なんで結婚しないの?」と声を掛けられることも多かった。しかし、50代となったイ今では、そんな言葉を耳にすることは一切ない。一般的な感覚としても、50代になって結婚するのは難しいと思われているからだろう。
友人との交流がなくなる
年齢を重ねるごとに、友人との交流が少なくなることも孤独感を深める大きな要因だろう。30代や40代は仕事や子育てで忙しく、学生時代の友人との交流が減ってしまうことはよくある話だが、50代はその傾向がさらに強まる。
50代にもなると、年賀状で「久しぶりに飲もう!」なんて形式的に一言を添える程度になり、実際に会うこともなくなる。ましてや、年賀状じまいをする人が増えている現在、友人と年に一度の生存確認をする機会すらもなくなる未来はそう遠くない。
結婚を意識するような新しい出会いも望めず、旧友とも疎遠になる状況を考えると、「独身50代の孤独さは異常」と感じてしまうのも頷ける。

老後に頼れる人が誰もいない
50代で結婚もできず、友人との交流もなくなるとなれば、老後に頼れる人が誰もいない現実に襲われる。
身近に悩みを相談できる人すらいないのは孤独感を深め、結婚しない人生を後悔することになりかねない。50代になってからでは、これまでの人生をやり直すことは、ほぼ不可能。現状を受け入れるしかない。
ちなみに私には妹がいるが、結婚して小さい子供もいる。老後の面倒を見てもらうなんて到底できない。今は一人の生活を満喫していても、老後になってから誰も頼る人がいない現実に直面し、「やっぱり、独身は孤独だった…」なんて思わないように祈るばかりだ。
社会的な役割を失う恐れがある
50代を迎える変化は、プライベートの人間関係だけではない。人生の多くの時間を割いてきた仕事においても、定年までカウントダウンとなり、会社での役割が徐々に失われていく。
若手に重要なポジションを奪われるどころか、役職や給与も上がる見込みがなくなり、窓際へと追いやられる人も少なくない。実際に今の世の中では、50代どころか40代でも早期退職勧告をされるような時代だ。
プライベートの人間関係が希薄になるだけでなく、社会的な役割すらも奪われることは、独身50代の孤独をさらに深めるものになる。
加齢に伴う能力低下を実感する
加齢による能力低下は、独身50代の孤独さは異常だと感じる決定打となり得る。記憶力や体力の衰えによって自分を信じられなくなり、孤独感も深まっていく。
私自身も50代になってから、記憶力や体力の衰えを実感している。40代になった頃は、若いときと大きな差を感じることはなかったが、明らかに50代は違う。
個人差はあるとはいえ、50代になっても若いときと変わらず、記憶力や体力に自信を持てる人は稀だろう。この事実は、独身50代の私が最も恐れている健康不安にも繋がっていく。
独身50代の私が最も恐れているのは「孤独」ではなく「健康不安」
独身50代の孤独さは異常と感じる人がいる一方で、私のような一人が好きなタイプは、孤独感に苛まれることがない。
とはいえ、独身のまま50代になって、40代とは違い大きな不安を感じるようになったことがある。それは、「いつまで元気で生活できるのか?」という健康不安だ。
前述したように40代までは、記憶力や体力の衰えを明確に感じることはなかった。しかし、アラフィフ世代に突入した40代の後半から疲れが溜まりやすくなり、物事に対する集中力もなくなり始めた。
40代前半までは、ほぼオールAだった健康診断でも引っ掛かるようになり、「健康寿命はどれくらいだろう…」と老後の不安を強く実感するようにもなったのだ。
ちなみに、50代以上の独身男性を対象にした「将来の生活に関する意識調査」によると、老後の不安として「健康」「老後資金」「介護」が上位となっている。最も多いのは「健康」であり、認知症や寝たきりになる恐れなど、回答者の約7割が懸念を感じている結果となった。
私自身「健康」以外に関しても、不安や悩みがない訳ではない。ただ、健康でありさえすれば、その他の問題はなんとかなると考えている。なぜなら、一人だけの生活なら十分やっていけると踏んでいるからだ。
もし、結婚して子供がいるとしたら、妻と子供を養っていくだけでなく、妻の両親の介護まで不安を抱えることになる。とてもではないが、私には支えられる自信がない。その点において、独身50代の老後の不安材料は、むしろ少ないとも言えるのではないか。
しかし、健康を害してしまったら、妻も子供もいない老後は不安しかない。独身50代であることに孤独を感じなくても、自分の身体が思うように動かなくなったら、人生は完全に詰んでしまう。
50代でも恋人や結婚相手は必要?一人好きの私が考える孤独にならないための最適解
将来的な健康不安を考えた場合、頼れる人がいない独身50代の現実は厳しい。そう考えると、老後を一緒に過ごす恋人や結婚相手を作る努力は必要なのかもしれない。
しかし、前述したように普通に生活をしている限り、パートナーを見つけられる可能性は限りなく低い。そもそも、50代になるまで一人で生活することが当たり前の状況から、万が一にも結婚生活が始まったら、相手に気を使い過ぎる生活が目に見えている。
独身だからこその自由を満喫できていたのに、むしろパートナーとの生活にストレスを感じるような生活になったら、かえって健康を害する結果になるのは想像に難くない。
50代まで孤独を愛するがごとく一人好きを自覚しているなら、恋人や結婚相手は必要ない。おそらく一人が好きな人なら、この気持ちに共感してくれるはずだ。
一方で、離婚や死別などを経験し、老後に一人の生活は耐えられないと感じているなら、50代以上でも諦めずにパートナー探しをすることが賢明だろう。
独身率が高まっていることから、最近は中高年向けの結婚相談所や婚活パーティーなどのマッチングサービスも増えている。中高年でも諦めずに行動すれば、新しい出会いも十分に期待できるはずだ。
以上のことから、50年以上の人生経験を経て一人が好きか否かで、恋人や結婚相手が必要かどうかの最適解は変わると言えるだろう。
孤独を感じない自由な生き方!一人が好きな独身50代の真実
私のような一人が好きな独身50代は、老後まで孤独という名の自由な道を突き進むしかない。将来的な不安はあっても、今はそんな一人の生活が快適だからだ。
「なぜ、独身50代の生活が快適なのか?」と問われれば、「一人が好き」という理由だけではなく、今の生活に満足しているポイントが他にもある。
それは、50代になってもやりたいことが多くあったからだ。中高年になると好奇心が無くなる傾向にあると言われるが、私には当てはまらなかった。何よりも若い頃と比べて新しい挑戦をしやすい環境だったことも大きい。
一般的に独身50代は、結婚した同世代よりも資金や時間的余裕が多くある。定年も間近に迫り、人生の逃げ切り体制に入るタイミングとも言えるだろう。
実際に私は勤続20年の会社を50歳手前で早期退職した。結婚していたら、家庭を支えるために若い頃と変わらずバリバリ仕事をして稼がなければいけない状況だったはず。その意味で、会社を辞める決断ができたのは、自由な独身だからこそと言える。
家族という人生の宝を手に入れることができなかった独身50代には、そのくらいのメリットがあっても良いだろう。後戻りができない年齢だからこそ、今の自由な生活を思う存分に楽しむしかない。
「独身50代の孤独さは異常ではない!」と前向きになれた7つの体験談
「なぜ、私が勤続20年の会社を早期退職したのか?」と言えば、定年を迎えるまでにやりたいことがあったからだ。これは、私が独身50代でも孤独さを感じない最大の理由だろう。
退職後はやりたいことを実践するだけでなく、いつ襲われるかわからない孤独や不安を解消するための対策にも取り組んでいる。
そこで最後に、私が「独身50代の孤独さは異常ではない!」と前向きになれた7つの体験談をお伝えしていく。
行政書士開業の目標を持つ
会社を早期退職してやりたかったことの1つが、行政書士事務所の開業だ。行政書士の資格は20代の頃に取得しており、「定年後の仕事として開業できたら…」くらいに考えていた。
しかし、本気で行政書士開業を目指すなら、資格勉強とは違う知識や経験が必要となる。定年後、ますます気力や体力が衰えてからでは遅い。そんな想いから、少しでも若いうちから開業準備を始める必要があると感じたことも、会社を辞める決断をした理由の1つだ。
実のところ、会社を辞めてから3年以上が経過したが、様々な事情があり、まだ開業には至っていない。それでも、行政書士開業という目標があることは、日々の生活に張り合いを生み、前向きな気持ちにさせてくれる。

SNSやブログで日常を発信する
若い頃から書くことが好きだったため、SNSやブログでの日常生活の発信は、行政書士開業と同じく、会社を辞めてやりたいことだった。
SNSやブログの発信をきっかけに、Webライターの活動を始めるようになり、今では書くことが仕事にもなっている(行政書士開業が遅れている理由にもなってしまった…)。
ブログの収益化にも成功したため、Webライターとの収入を合わせれば、なんとか食べていくことができる状況だ。好きな仕事で収入源を確保できたことは、独身50代でも孤独や不安を感じにくい大きな要因だろう。

運動のために清掃バイトをする
書く仕事は楽しいものの、一日中イスに座ってパソコン作業をしていると、極端に歩数が少なくなる。スマホの万歩計を見れば、一日の歩数が100歩を下回ることも珍しくなかった。
そこで始めたのが清掃のアルバイトだ。早朝3時間の作業で、自然と1万歩を優に超える運動になる。収入の足しにもなり、まさに一石二鳥。パソコンで書く仕事だけをしている頃よりも、明らかに体調は良くなった。
朝散歩はメンタルの改善に効果的とされるが、早朝の清掃バイトはその代わりになったようだ。独身50代の不安や孤独の軽減にも、大きな効果があったことを実感している。

宅食サービスで食生活を改める
運動とともに食事は健康的な生活をおくるために大事な要素。しかし、自炊を殆どしない独身50代の私にとって、一日の栄養を考えた食事をとるハードルは高い。
そこで利用したのが、最近流行りのナッシュや三ツ星ファームなどの宅食サービス。健康面に配慮した豊富なメニューがあり、自炊が面倒で外食生活になりがちな人には、食費を抑えるメリットもある。
食材を購入や自炊をする手間を省いてくれることからも、食生活の改善だけでなく時間的な余裕も生まれる。コンビニや外食チェーン店で済ませる食事と比べれば、健康的で少しだけ家庭の温もりも感じさせてくれることもポイントだ。
町内会活動に参加する
町内会の活動に参加したことは、他の体験談とは異なり進んで取り組んだものではない。班長の順番が回ってきたため、仕方なく引き受けただけで、正直なところ関わりたくはなかった。
とはいえ、独身50代の老後を考えれば、地域社会との繋がりは重要だ。実際に町内会の活動を通じて、近所の人と知り合いになる機会が増えたことで、日常の安心感に繋がっている。
前述したように「独身50代の孤独さは異常」と感じる要因には、老後に頼れる人がいないことや社会的な役割が失われることがある。そのため、町内会活動に参加することは、そんな独身50代の救いになるかもしれない。

不安や希望をノートに書き出す
不安や希望をノートに書き出すことは、これまで紹介した個人的な体験談と比べて、誰にでも簡単に始められる。
やり方は思い立ったことを深く考えずにノートに手書きをしていくだけ。書く瞑想とも呼ばれ、続けていくうちに気持ちがスッキリしていく。
具体的な方法は、売れ筋の本を参考にして欲しい。ポイントは長く続けるために、最初から気合を入れ過ぎて書かないこと。その点を踏まえて、下記の本は参考になるのではないだろうか。
【劇薬注意】猫と暮らす
最後に独身50代の孤独を解消する方法として、圧倒的に効果がある劇薬を紹介する。それは、ペットを飼うことだ。
私の場合は、自宅の庭に顔を出した子猫を2匹保護したことから、猫との生活が始まった。猫と暮らすことで、幸福感と癒しに満ち溢れた日々を過ごしている。
しかし、ペットと暮らしを始めるには、いつか必ず訪れる別れを避けられない。これまで独身50代であることに孤独を感じなかった私でも、猫との別れを想像するだけで涙が止まらなくなる。
その日がきたら、強烈な孤独感に襲われることになるだろう。そんな劇薬の副作用を抑えるためにできるのは、後悔することがないほど猫を幸せにすることだけだ。

まとめ:独身50代の孤独さは異常ではない!一人好きには快適なライフスタイル
結局のところ「独身50代の孤独さは異常なのか否か?」の答えは、一人で生活することに対する耐性があるかどうかで変わる。
私のように一人が好きなタイプであれば、むしろ孤独であることは居心地がよく、独身生活はとても快適なライフスタイルだ。健康でさえいれば、家族を養うプレッシャーもなく、独身だからこそ自由にやっていける。
生涯独身率は右肩上がりで伸びており、今後も同じ独身仲間は増えていくだろう。もしかしたら、中高年世代の強固な独身コミュニティが形成されて、世間が独身50代に抱く孤独なイメージが大きく変わる未来が訪れるかもしれない。