「会社を辞めたい!」と思っている人にとって、独立開業もできる行政書士はとても魅力的に感じる資格の一つです。しかし、会社を辞めたい気持ちが先行しているのならば、それはただの幻想に過ぎないかもしれません。だからこそ資格取得に向けて行動する前に絶対に知っておくべきことがあります。
本記事では「会社を辞めて良かった!」と思えるように、行政書士資格に挑戦するなら知っておくべき5つのポイントを私自身の経験談も交えて解説します。
- 行政書士資格を取って、会社を辞めたいと思っている人
- 行政書士資格を活かして仕事をする現実を知りたい人
- 行政書士が一生食べていける価値のある資格なのか知りたい人
会社を辞めてよかったと感じるためには?
行政書士資格について考える前に確認しておくべきことがあります。それは「会社を辞めることが目的になっていませんか?」ということ。
もちろん、会社を辞めたい気持ちが資格取得のモチベーションになることはあります。しかし、それだけでは無事に資格取得できたとしても、会社員時代よりもよりよい人生になるとは限りません。
資格だけでは何も変わらないのが現実。資格を取って何をやりたいのか?そのことが明確になければ、行政書士資格を挑戦することに大きな意味はありません。
「会社を辞めてよかった!」といえるようになるためにも、まずは行政書士の資格取得後の目的をしっかり持つことが大切です。
会社を辞めることが目的になっていたのは、実は私自身のこと。福祉の仕事をやるために社会福祉士の資格取得を目指していたときの話です。
結局、会社を辞めて無事資格には合格したものの、福祉の世界には足を踏み入れることなく、その後5年以上に渡りフリーター生活をすることになります。
今思い起こせば、会社を辞めたくて仕方がなかったために、資格取得のために勉強をするという理由を作っただけだったのです。私のような後悔をしないために、なぜ資格を取りたいのかをよく考えてみてください。

行政書士資格に挑戦するなら知っておくべき5つのこと
会社を辞めること前提に行政書士資格に挑戦するなら、これから行政書士資格を活かして仕事をしていく現実を知っておくべきです。ここでは、私自身の経験も踏まえて5つのポイントに絞ってお伝えします。
資格難易度は想像よりも高い
行政書士は比較的易しい資格と言われることもありますが、あくまでも法律系国家資格の中での話です。簡単に合格できる資格ではありません。
法学部出身者や他の法律系資格に挑戦したことがある人であれば別ですが、もし初めて法律を学ぶ人が行政書士に挑戦するならば相応の覚悟が必要です。
合格までの勉強時間の目安は600時間や1,000時間等、調査機関によって異なるものの、いずれも決して少ない時間ではありません。
世間一般的にいわれている勉強時間はあくまでも目安。平均的には1年~2年程度の期間で合格すると言われていますが、5年以上かけて合格する人もいます。
実際に合格率は例年10%前後と低く、一般的には行政書士合格はすごいといわれる資格。試験難易度は想像以上に高いことを考えておく必要があります。

資格勉強に専念しない方がよい
行政書士が難易度の高い資格ならば、会社を辞めて資格勉強に専念しようと思う方がいるかもしれません。しかし、それはもっとも危険な考え方です。
特に前述した「会社を辞めたいことが目的になっている人」は、資格勉強することを理由にして、すぐにでも会社を辞めようと考えるのではないでしょうか。
行政書士は難易度は高いものの、会社員をしながらでも合格できる資格です。資格学校の通信講座は、ネット環境さえあれば何処でも何時でも通学講座と変わらない授業を受けることができます。
特に家族を養わなければいけない40代以上の人は、資格勉強のために会社を辞めることは避けるべきです。働きながらでも確実に合格するためには、独学ではなく通信講座をおすすめします。

今より高い給料になる可能性は低い
行政書士試験に無事合格して会社を辞めても、肝心の給料は会社員時代よりも高くなることは殆どありません。
行政書士合格後のルートはいろいろ考えられますが、資格を活かして働く場所を探すにしても、独立開業にするにしても、待遇面においては厳しい現実が待っています。
詳しくは後述しますが、行政書士の資格を活かせる職場は少なく、独立開業もすぐに軌道に乗れるような甘い世界ではありません。
その意味で安定的な収入を得られる会社員の魅力に辞めてから気づくのは、脱サラ組のよくある話です。
一方で、会社員では考えられない高い給料をもらっている行政書士がいるのも事実。会社員の場合、おおよその給料の最大値が予見できますが、行政書士は良い意味でできません。

転職で有利にはならない
行政書士は独立開業してこそ活かされる資格といわれます。その大きな理由の1つは、行政書士の資格取得者の求人がほとんどなく、行政書士事務所に補助者等で働くことが難しいためです。
また、一般企業でも行政書士資格を活かせる職場は限られています。むしろ、下手に行政書士のような法律系の資格を持った応募者は、コンプライアンスに厳しい時代背景があるため、採用者側から煙たがられる可能性すらあります。
つまり、行政書士資格を活かして他の会社へ転職を考えているとするならば、余程の事情がない限りおすすめはできません。世間一般的に「行政書士はやめとけ!」と言われるのは、資格を活かせる道が少ないと思われているからかもしれません。

独立開業は甘くない
行政書士に魅力を感じる最大の理由は、独立開業できる資格だからでしょう。ましてや会社を辞めたい人にとっては、これ以上惹かれるものはありません。
とはいえ、独立開業して成功できる人は一握り。明確な情報源はありませんが、行政書士の廃業率は一部で90%を超えるともいわれています。
このような背景から「行政書士は食えない」とよく言われます。ただし、そもそも独立開業自体が成功するのは至難の業。行政書士だから食えないのではありません。
行政書士のように資格取得という参入障壁がある仕事と比べれば、他で起業する方が難しいはず。つまり行政書士合格の有無にかかわらず、会社を辞めて独立開業は甘くないということです。

定年がない一生食べていける資格
これまで、会社を辞めたい人に向けて、行政書士資格の厳しい現実をお伝えしてきました。しかし、しっかり手順さえ踏めば、行政書士資格に挑戦することは後悔しない魅力がたくさんある資格です。
その中でも、会社を辞めたい人にとってもっとも大きな魅力といえるのは、一生ものの資格であるということ。行政書士は定年がない仕事。やる気さえあれば一生食べていくことが可能なのです。
独立開業ができる資格の中でもコストパフォーマンスは圧倒的に高い資格。難易度は高いとはいえ、弁護士や司法書士のような超難関資格ではありません。正しい勉強法で努力すれば、簡単とはいかなくても誰でも合格はできる資格です。
そして資格取得すれば、更新制度もなく一生使える資格。会社を辞めても辞めなくても、行政書士資格に合格すれば大きく将来の選択肢が広がるはずです。
私が行政書士の資格取得をしたのは、20年以上も昔の話。そもそも行政書士資格を活かして仕事をしようなんて思っていませんでした。
ましてや独立開業なんて、まったく考えていなかったにもかかわらず、50歳を目前に脱サラをして行政書士開業を目指すことになります。
人生何があるかわかりません。将来の保険という意味でも行政書士は取得して損のない資格です。

まとめ
会社を辞めたいと思っている人は、行政書士を取って何をしたいのか目的を明確に決めておく必要があります。そして資格取得に挑戦するなら知っておくべきことは以下の5つ。
- 資格難易度は想像よりも高い
- 資格勉強に専念しない方がよい
- 今より高い給料になる可能性は低い
- 転職で有利にはならない
- 独立開業は甘くない
いずれも行政書士資格の厳しい現実ですが、一方で行政書士は定年がない仕事であり、やる気さえあれば一生食べていくことが可能。行政書士でやりたいことが定まっているのなら、資格挑戦する価値のある資格です。
今、会社を辞めたいと悩んでいるのであれば、自分の気持ちを整理するために本記事がお役に立てれば幸いです。