「40代で会社を辞めた人のリアル」のタイトルをみて、ネガティブなイメージを持つ人は多いのはないでしょうか。もしかすると、長年のサラリーマン生活を辞めたことで、人生が破綻した人の話を期待している人もいるかもしれません。
しかしながら、本記事でお伝えするのはポジティブな「40代で会社を辞めた人のリアル」です。
とはいえ、40代で会社を辞める決断は年齢的に問題や不安等を伴うことが多く、よほどのキャリアがなければ、次のステップを考えるにはリスクが大きい世代でもあります。
そのため、会社を辞めたい理由があっても「このまま定年まで働くしかない」と諦めている人が多いのが現実です。実際私も諦めていた一人でした。
そんな私が「なぜ、40代で会社を辞められたのか?」については、あらかじめ会社を辞めるタイミングを決めたからです。それでも、勤続20年にもなる会社の退職を決断するにはそれなりの葛藤がありました。
本記事では、会社を辞めたいと迷っている40代が少しでもポジティブになれる「40代で会社を辞めた人のリアル」を私の体験談をもとにご紹介します。
なお、これからお伝えすることは、私が独り身であるから可能なことが含まれています。すべての人に40代で会社を辞めることを推奨する記事ではないことをご了承ください。
※仕事を辞めた後については、コチラ「仕事辞めたら人生楽しすぎ!」と叫びたくなる7つの理由【40代の体験談】の記事に詳しく書いていますので、よろしければ、是非合わせてお読みください。
- 40代で会社を辞める人のリアルな体験談を知りたい人
- 40代で会社を辞める「理由」「障害」「タイミング」の具体例を知りたい人
- 40代で会社を辞めてから2年経過した現在の状況や心境を知りたい人
40代で会社を辞めた人のリアル~会社を辞める理由~
40代で会社を辞める決断をするには、若い頃とは違うエネルギーが必要となります。ちょっと会社が嫌になった程度の理由では辞めることはできない現実があります。そのことを踏まえて私の体験談をもとに会社を辞める理由についてお伝えします。
やりたいことがある
厚生労働省の調査では、40代を含む中高年層の転職入職率(従業員の流動性を示す数値)は他の年代と比較して低いデータがあります(~令和4年雇用動向調査結果の概況~参照)。
それだけ会社を辞めるハードルは高く、退職するには強い動機が必要になります。その動機となる最大の理由がやりたいことがあったからです。
20代の頃のように手の届かないような夢を追うのではなく、現実的にできそうな「やりたいこと」が定まったときに40代でも会社を辞めることが現実的なものになりました。
やりたいことは以下の3つ。
- 行政書士開業
- ブログ運営やWebライター等の副業
- 猫と過ごす時間を多く作ること
ただ「会社を辞めたい」のようにネガティブな理由だったとしたら、40代で会社を辞める決断はできなかったかもしれません。
会社を辞めないリスク
40代は若いとはいえなくても、定年までには時間がある年齢です。あと20年前後は働かなければいけません。
終身雇用が崩れつつあり、AIの台頭などにより今ある仕事がいつまであるかも不透明な時代において、収入源が1つしかない会社員という立場は決して安泰ではないと感じたからです。それは会社を辞めないリスクともいえます。
会社を辞めずに働き続け、定年間際になって仕事がなくなるよりも、40代のうちに新しいことに挑戦する方がむしろリスクの方が少ないと判断したということです。
事業形態にもよりますが、20年以上先まで安泰の会社はほとんど存在しないように感じます。そのため、会社を辞めても一生食べていける仕事を見つけることがリスク回避につながると考えました。
残りの健康寿命が少ない
40代の年齢がポイントになったという点では、残りの健康寿命が少ないと感じたことです。
30代は記憶力や体力の衰えをまったく感じなかったのに、40代になって一気に「覚えられない…」や「疲れがとれない…」を実感。50代になったときを想像したら「チャンスは40代の今しかない」と思ったからです。
2023年現在、平均寿命は男女ともに80歳を超えていますが、健康寿命になると男性は72.68歳、女性は75.38歳と大幅に短縮されます(厚生労働省e-ヘルスネット参照)。
何かを始めるのに年齢は関係ないとはいいますが、頭も身体も健康なうちに始めなければ気力が追い付かなくなります。
50代や60代だから諦める必要はありませんが、何かを始めるなら早いに越したことはないのは事実です。50代が間近に迫り四十肩から五十肩になりつつある現在、よりその判断は間違いがなかったと実感しています。
【「会社が嫌になったから」は理由にないのか?】
私と同じ40代が会社を辞める場合、会社の将来に不安を感じて辞めることはあっても、会社が嫌になって辞める人は意外と少ない印象です。
あくまで私も含めた身近な人の例ではありますが、40代まで勤めてきた会社に少なからず感謝や愛着があるからなのかもしれません。
40代で会社を辞めた人のリアル~会社を辞める障害~
会社を辞める理由がある一方で、40代という年齢がネックとなって二の足を踏むことがあります。私の体験談をもとに会社を辞める障害についてお伝えします。
もっとも現実的な問題となる「40代の経済的なリアル」
40代で会社を辞める多くの人が直面するのが経済的な問題です。会社員として安定した収入を失うことから、退職直後だけでなく将来の生活にも大きな影響を与えるもっとも現実的な問題になります。
経済的な問題とは?
収入の減少
キャリアを買われての転職でない限り、通常収入は減少します。また、起業を考えるのであれば一時的に無収入になることも想定しなければいけません。失業給付等の受給についても確認しておく必要があります。
参考記事:行政書士の開業準備中でも確実に受給できる失業給付の申請方法【体験談アリ】
将来への備え
40代は将来への備えを始める時期でもあります。会社を辞めることは現状の収入が減少するだけでなく、退職金や年金など将来の収入が減少する覚悟も必要です。
生活費の削減
退職後の新しいライフスタイルに合わせた生活費の変動も考慮する必要があります。特に、次の仕事が安定するまでは支出を大幅に減らすなど、生活費の見直しは避けられません。
借金やローン
借金やローンの返済がある場合、退職後も支払いが滞りなくできるように見通しを立てる必要があります。それができないのであれば、会社を辞めることは避けるべきです。
税金の支払い
会社を辞めて一番大きくなる負担が税金です。特に健康保険から国民健康保険に切り替えた場合は、その負担額の大きさに驚きます。収入や自治体によっても保険料は異なるため、退職前から健康保険任意継続制度等、負担の少ない支払い方法を検討しておく必要があります。
参考記事:脱サラ行政書士は必見!健康保険任意継続制度のお得な利用方法【国民健康保険との比較も解説】
私はこうして経済的な問題を解決しました!
どんなに貯金をして節約しても、結局金はなくなっていきます。一生食べることに困らない蓄えがあれば別ですが、そんな人はこんな記事に目を通すこともないでしょう。
私が退職した時の状況は、2~3年は働かなくても生活ができる預金はありましたが、その程度ではとても安心して会社を辞める気にはなりません。
では、なぜ経済的な問題を解決できたのかといえば「収入源の見通しができたから」です。
私が会社を辞める前に収入源として考えていたものは以下のとおりです。
- 行政書士として開業する
➡参考記事:【40代・未経験・コネなし】脱サラして行政書士開業を決めた8つの理由 - ブログ・Webライターで収入を得る
➡参考記事:ブログ初心者の神!ヒトデさんがすごい8つの理由【オススメ記事と動画も紹介】 - アルバイトで不足分を稼ぐ
➡参考記事:年齢不問、無資格・未経験でOK!確実に稼げるお気楽オススメ副業バイト7選
➀を本業として、➁を副業として、仕事が安定するまでは③もやるイメージです。
退職後丸2年が経過した現在、結果はどうだったのかといえば…
- 開業準備中
- 収入を得られるようになった
- アルバイトをしなくてもなんとかなっている
本業予定だった➀の行政書士はのんびり開業準備中。それができるのも➁のブログやWebライターである程度の見通しがたったから。③のアルバイトについては、収入源としてだけではなく、➀と➁だけでは身体が鈍るので、ちょっとやり始めてみようかと思っているのが現状です。
副業をして収入源をなるべく増やすことで、おひとりさまで生活するのであれば「なんとかなる」というのが退職後の本音です。
予測不能だから不安になる「40代の仕事探しのリアル」
40を過ぎれば、一般的に仕事を見つけることは難しくなります。求人数や求められるスキル・経験、そして新しい仕事の適性など、予測不能な要素が大きいからこそ仕事探しの不安は大きくなります。
仕事探しの不安とは?
40代からの求人
20代や30代と比較すれば、40代の求人は限られています。まったくの別業種に転職するのであれば、福祉業界などの人手不足の業界を除いて、正社員になることは難しい現実があります。
スキル・経験
40代の転職は求められるスキルや経験も高くなります。これからの成長を見込んで採用されるような年齢ではなく、必要なのは即戦力となるスキルと経験です。自分の能力が他の職場でも通用するか否かも実際に新しい仕事に就いてみなければわかりません。
仕事・職場の適性
自分の能力の有無だけではなく、新しい仕事の適性があるのかも気になります。仕事そのものはもちろん、職場の人間関係も含めて、40代からでも馴染めるのかはギャンブルのようなものだからです。
私はこうして仕事探しの不安を払拭しました!
前述したように、私は行政書士として独立開業を考えていたため、最初から仕事探しを考えていた訳ではありません。もし、仕事探しをするなら、万一のときのアルバイト探しということになります。
行政書士は資格の更新制度や年齢制限もないことから一生続けることができる仕事。そしてブログやWebライターは、年齢がネックになることはありません。むしろ記事を書くうえで年齢を重ねた経験値を活かせるケースの方が多いといえます。
しかし、アルバイトは年齢がネックになることがあります。年齢不問となっていても現実には若い人が優先されます。
ただし、清掃員や警備員など高齢者が多く働いている職種もあります。底辺の仕事と揶揄さえることもありますが、高齢者でも働ける仕事は一生できる仕事という見方ができます。
高齢者からみれば、まだまだ若い40代のうちから仕事の経験を少しでも積んでおけば、それこそ万一のときに役立つスキル・経験になるかもしれません。
本業として行政書士、副業でブログ・Webライターという収入源を複数持っているからこその考え方ですが、高齢者でも働けるバイトの存在を確認することで、仕事探しの不安はだいぶ和らぐはずです。
最大の恐怖となる「40代が自分の居場所を失うことのリアル」
いざ退職の方向に大きく傾いた時に、最終的な障害となることがあります。それはこれまで築き上げてきた自分の居場所を失うことです。お金や仕事とは異なり対応することが難しいからこそ最大の恐怖となります。
自分の居場所を失うことの恐怖とは?
同僚との関係性
40代にもなれば日常の付き合いは仕事の同僚くらいになります。仕事の愚痴をつまみに飲むこともなくなると思うと少し寂しく感じるものです。
社内の地位
長年勤めて社内の地位も向上したのに、それが会社を辞めることですべてなくなるのは空しく感じます。40代から新たな仕事で同じ地位を築くことは難しいため、勿体ない気持ちが強くなります。
仕事の役割
自分だけの仕事の役割がなくなることも、会社を辞める辛さを感じることの1つです。しかし、それ以上に感じることが途中で仕事を投げ出すことの申し訳なさです。どんなに引継ぎを完璧にしても、その気持ちがなくなることはありません。
周囲の反応(世間体)
最終的に一番気になることは、会社を辞めることに対する周囲の反応です。会社を辞めて一時的にでも無職状態になれば、どうしても世間体が気になります。
私はこうして自分の居場所を失う恐怖を克服しました!
結論からいえば、割り切るしかありませんでした。経済的な問題や仕事探しの不安と比較して、自分の居場所を失うことは、気持ちの問題が占める割合が大きいからです。それでも周囲の反応(世間体)だけは、なかなか克服することが難しく感じていました。
しかし、唯一の対策となったのは、行政書士で開業を目指しているという事実。ブログやWebライターといっても、ほとんどの人はピンときません。また40代でアルバイトだけをしているとしたら、底辺に落ちたと思われても仕方ない状況です。
その点、行政書士という肩書があれば、世間一般には行政書士合格はすごいと思ってくれます。自分の居場所(今後の仕事)として行政書士の開業準備中であることを伝えることができるのは、世間体を保つために十分な意味がありました。
世間体なんてどうでもいいと思うかもしれません。でも、いざ会社を辞めるとなれば、されど世間体なのです。
40代で会社を辞めた人のリアル~会社を辞めるタイミング~
明確に会社を辞める理由があって、会社を辞める障害を取り除くことができたとしても、あと一歩踏み出せないのが40代の壁でもあります。若い時のように勢いに任せて辞めるような気持ちにはなれません。
実際に私も「会社を辞めよう」と考えてから、最終的な決断をするまでに2年以上掛かっています。1年過ぎた頃には「なんやかんやで、このまま働くのか…」と思った時期もありました。
ただ、そんな優柔不断な自分だからこそ、会社を辞めるタイミングを決めたのです。それは「人事異動による辞令を受けたとき」に退職する旨を伝えることでした。
部署や事業所の配置転換や役職等の変更があれば、また一から新しいことを覚えなければいけなくなります。「40代になって新しいことをするなら、やりたいことを始めたい」という思いは、退職理由として上司に伝えた言葉でもありました。
もちろん、会社を辞めるタイミングはさまざまです。「人事異動による辞令を受けたとき」ではなくても、会社を辞める最後の決断ができない人は、あらかじめ背中を押してくれるタイミングを決めておくと前に踏み出せるかもしれません。
40代で会社を辞めた人のリアル~退職した40代の後悔と希望~
会社を辞めてから丸2年が経過した現在、「会社を辞めたことに後悔はあるのか?」と問われたならば「ありません」と答えることができます。
強いていえば行政書士の開業準備やブログ運営・Webライターのやり方等は、脱サラ前にもっと準備しておけばよかったと思うことくらいでしょうか。いずれにしても後悔といえないような些細なことです。
いまだに行政書士開業すらしていないのに「本当なの?」と疑われるかもしれません。それについても「本当です」と答えます。その理由は以下のとおり。
- 行政書士の実務を学ぶことが楽しい
- ブログ・Webライターで稼ぐことができた
- 猫と自由な時間を思う存分に過ごせる
会社を辞める前に希望していた未来が、不完全ながらも少しずつできているからです。
これから先、予定通り行政書士として開業すれば、また事情は変わってくるかもしれません。ただ、それでも会社を辞めて良かったと思える自分がいます。
ただし、これはあくまでも私が「おひとりさま」であるから。家族を養わなければいけない立場があるのなら、そんな呑気なことはいってられないでしょう。
ここまでお伝えしてきた「40代で会社を辞めた人のリアル」は、「おひとりさまだからこそのリアル」ともいえます。
まとめ:40代で会社を辞めた人のリアル~勤続20年の会社をこうして辞めました~
「40代で会社を辞めた人のリアル」は人生の窮地に追い込まれるようなネガティブな話ではなく、ポジティブに考えることができます。
私の実体験をもとにすると、40代で会社を辞める理由は以下のとおり。
- やりたいことがある
- 会社を辞めないリスク
- 残りの健康寿命が少ない
しかし、いざ会社を辞めるとなればさまざまな障害があります。
- 経済的な問題
- 仕事探しの不安
- 自分の居場所を失う恐怖
これらの障害をクリアしたとしても、40代が会社を辞めることは想像以上にハードルが高く、最終的な決断ができないことがあります。
そのため、会社を辞めるタイミングをあらかじめ決めていました。それは「人事異動による辞令を受けたとき」に退職する旨を伝えることでした。
会社を辞めて丸2年が経過した現在、退職したことに後悔はありません。会社を辞める前に希望していた未来が、不完全ながらも少しずつできているからです。
しかし、以上の「40代で会社を辞めた人のリアル」は、私が「おひとりさまだからこそのリアル」ともいえます。
家族を養わなければいけない立場の人はもちろん、すべての人に当てはまる内容ではありません。そのため、それぞれの立場と重ね合わせて、少しでも参考にできるところがあれば幸いです。